今回の地価調査の結果から見えること
すでにご存じのとおり平成23年7月1日時点の地価調査基準地の価格が発表されました。今回の特徴と地価下落のメリット・デメリット及び地価の今後の動向について見てみたいと思います。
全国の概況について
住宅地は20年連続、商業地は4年連続のマイナスが出ております。昨年後半より震災後の今年前半の方が下落率は拡大しております。震災後東京圏においては、湾岸部の高層マンションに買い控えが出る一方、地盤が安定した内陸部では下落にストップがかかった地域がでているとの報道もあります。また、被災地では沿岸部の一部の高台の地価が買い占めなどにより、局地的なミニバブルが発生しているという報道もあります。震災後の東日本や首都圏から大阪圏に人口移動が起こり、これが要因となって三大都市圏の中では大阪圏では下落率が縮小の方向に向かっております。地方圏では、人口減の構造的な要因により全体としては下落が継続しております。
商業地は地方圏では、人口減等に伴う需要減、中心市街地の衰退等により全体としては下落が継続しておりますが、九州新幹線の全線開業等の効果が見られる地域(鹿児島中央駅周辺)において地価上昇の動きが現れました。
鹿児島県の概要
県内では2年連続で地価上昇地点は有りませんでしたが、今年3月の九州新幹線全線開業効果もあり、鹿児島中央駅周辺の3地点で上昇しました。人口減少や過疎高齢化など構造的な要因により、住宅地は14年連続マイナス、商業地は20年連続マイナスとなっております。
人口10万人以上の鹿児島市、鹿屋市、薩摩川内市、霧島市は、住宅地・商業地ともマイナス3%台から4%台で昨年とほぼ同様の下落率となっております。
鹿児島中央駅周辺の3地点は全国版でも取り上げられたように、今回は上昇しました。今まで県の最高地点は天文館電車通りとされてきましたが、その地位の逆転があるのか、非常に関心のあるところだと思います。公表される公的な地価が僅かながらも逆転するだけでも、投資マインドや融資のための担保評価などに大きな影響がでることが予想されます。リーマンショック以降県外資本による商業地への投資は手控えられ大型の取引量は極端に少なくなっており、取引価格からの比較判断は難しいかと考えられます。最高地点は商業地ですから、収益性が高いことが必須条件です。店舗の賃料水準、空室率などを調査することが大事なことだと思います。それと、商業地としての面的な広がりです。天文館地区は歴史の積み重ねによって背後に様々な店舗街が形成されています。鹿児島中央駅周辺は、表の電車通り沿いは再開発などにより大きな変貌をしてきておりますが、背後の広がりの点ではまだ天文館にはかないません。これらの点も総合的に考え、最高地点はここ1年~2年の間に決まるかと思います。
地価下落のメリット・デメリットについて
地価下落によって、住宅、事業用地、公共用地の取得や工場誘致により雇用の創出などに期待できる一方、地価下落は不動産を担保にした借り入れが多い中小企業などの資金調達に悪影響が及びます。個人資産の目減りにより消費も冷え込みます。地価が下げ止まらなければデフレも長期化し、景気回復も遅れます。また、自治体の財源の一つである固定資産税も減少し財政に影響がでてきます。地価は経済を映す鏡ですので地域のイメージにもマイナスです。
今後の地価の動向について
全国的に考えれば、震災や原発事故に加えて円高や欧州債務問題などで地価の底入れは時間がかかると思われます。人口減が続く地方はもとより大都市部も海外からの投資が本格化しないと上昇へは転じないかと思います。震災を機に防災に強い都市作りが課題になっております。
地方においては公共用地の取得を大胆に進め防災機能を強化するための投資を積極的に行ってもらい、地方圏もふくめ都市部では規制緩和等により都市再開発を進めてもらい、地価下落に歯止めがかかるように期待したいと思っております。