国税庁は平成23年1月1日現在の路線価を発表しました。これによりますと今回の路線価は3年連続で下落しましたが、その下落率は昨年より縮小しマイナス3.1%となっています。東京、愛知、大阪など三大都市圏を中心に下げ幅が縮小し、企業業績の回復や国内外の投資の増加が地価の下落に歯止めをかけたのが要因と考えられます。これに対して地方中核都市の福岡市の最高路線価を除けば、地方圏では依然として地価下落に歯止めはかかっていません。
鹿児島県においては最高地点の鹿児島市東千石町の天文館電車通りが2.3%マイナスの㎡当たり820,000円となっていますが、バブル崩壊前のピーク時の20%弱まで価格は落ちてきました。一方、新幹線全線開業効果が見込まれた鹿児島中央駅東口の電車通りは800,000円で昨年と同じで横這いを維持しましたが、川内駅前、出水駅前は下落しました。天文館一極集中が崩れ、新幹線全線開業により広域的な商圏人口が広がる鹿児島中央駅前地区に重心が移り、早晩最高商業地区が変わる可能性がでてきました。
相続税の路線価は国税局長が評価する公的評価ですが、ここで公的評価にはどのようなものがあるかまとめてみました。相続税評価、固定資産税評価の目的は課税ですが、その価格はいずれも、地価公示、地価調査がベースとなっており、相続税評価は地価公示価格水準の8割、固定資産税評価は7割が目途となっております。
□地価公示
根拠法・・・・・・地価公示法
目的等・・・・・・一般の土地取引の指標。不動産鑑定士の鑑定評価の規準。公共用地の取引価格の算定の基準
評価機関・・・・・国土交通省土地鑑定委員会
価格時点・・・・・1月1日(毎年)
宅地の評価方法・・・標準地について2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、国土交通省に設置された土地鑑
定委員会が その結果を審査し必要な調整を行って正常な価格を判定し公示
標準地数・・・・・27,804地点(H22)
□都道府県地価調査
根拠法・・・・・・国土利用計画法施行令
目的等・・・・・・地価公示とほぼ同様の役割
評価機関・・・・・都道府県知事
価格時点・・・・・7月1日(毎年)
宅地の評価方法・・・基準地について1人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め都道府県知事がその結果を審査
し、必要な調整を行って一定の基準日における標準価格を判定
標準地数・・・・・23,024地点(H21)
□相続税評価
根拠法・・・・・・相続税法
目的等・・・・・・相続税、贈与税及び地価税課税のため。相続又は贈与の際に課税
評価機関・・・・・国土交通省土地鑑定委員会
価格時点・・・・・1月1日(毎年)
宅地の評価方法・・・公示価格、精通者意見価格、売買実例価額等を基に、公示価格ベースの仲値を評定し、これを基
として各路線、各地域のバランスをとって路線価又は倍率を評定(地価公示価格水準の8割程度)
標準地数・・・・・約37万地点(H21)
□固定資産税評価
根拠法・・・・・・地方税法
目的等・・・・・・固定資産税課税のため。毎年課税。
評価機関・・・・・市町村長
価格時点・・・・・基準年度の前年の1月1日(3年毎評価替)
宅地の評価方法・・・売買実例価額から求める正常売買価格を基として適正な時価を求め、これに基づき評価額を算
定。(地価公示価格の7割を目途)
標準地数・・・・・約44万地点(H21評価替え)
相続税の評価は相続税等の課税を目的としますが、継続審議中のため導入時期は未定ですが、相続税・贈与税の改正(案)が出ております。これによれば相続税の基礎控除の引き下げにより申告義務者はいままでの約2倍に増えると予想されています。例えば相続人3人の場合評価が8000万までは課税の対象からはずれていたものが、今回の案では4800万に引き下げられます。同時に税額・控除額も強化されます。そのため相続税の対象となる不動産を所有していると思われる方は、今後の所有不動産の地価の動向に影響を及ぼす利便性、将来性等に注意を払う必要があります。節税対策の土地活用も金利コストや市場の需給動向を熟慮の上、今後も所有し続けるか、早い内に手放すか、検討が必要です。また不動産は千差万別で価格形成に大きな事情を与える個別性を有しています。路線価だけでは評価が難しい不動産を所有されている方は是非私ども不動産鑑定士にご相談ください。
今度発表された路線価は平成23年1月1日時点の価格です。その後発生した東日本大地震や原発事故の前です。影響を受けた地域では、人気のあった沿岸部のマンションの販売が激減したり、高台地へ需要が集中し地価が高騰する現象が起きるなど、土地評価がいままでと大きく異なり始めている地域もあるようです。土地評価の不安定さは、一般の生活者のみならず、中小企業の経営者、自治体にも影響が及んできます。直接的な影響を受けなかった地域でも、今後電力不足、資材の不足、生産や消費活動の縮小も予想され、経済活動を反映する地価にも影響がでてくると思われます。被災地の方の復旧・復興は勿論のこと一刻も早い回復と脱却をお願いしたいと思っております。
(株)鑑定ソリュート鹿児島 代表取締役 西川 修一
TEL:099-224-4055 FAX:099-224-4536