1. 2020年の不動産を取り巻く動き 【東洋経済2020/10/31】

本誌の見通しでは、物流施設は言うに及ばず、ホテルや商業施設といった痛手を負った用途でさえ10月以降は雨模様がやや和らぐ方向。
2. 1~6月分の路線価 据え置き 【国税庁】
新型コロナウイルスによる経済活動への影響から、国税庁が検討していた1~6月分の路線価の減額補正が28日見送られた。大部分の地域の地価(時価)が路線価を下回らなかったため。同庁は「引き続き地価の動向を注視したい」としている。
3. リフォーム受注額2割減の2.4兆円 20年度第1四半期(4~6月) 【国土交通省】
国土交通省が公表した「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」によると、20年度第1四半期(4~6月)の受注高合計は2兆4,633億円で、前年同期比21.9%減となり、四半期ベースでは2期連続で落ち込んだ。このうち、住宅に関する工事の受注高は6,746億円で同18.4%減、非住宅建築物に関する工事受注高は1兆7,888億円で同23.1%減少した。
4. 不動産仲介のデジタル化 動き出す 【日経】
全国約3万6000社が加盟する全日本不動産協会はIT(情報技術)ベンチャーと業務提携し、物件紹介や顧客とのやり取りをクラウド上でできるようにする。
不動産サービス大手JLLが世界各国・地域の不動産市場の情報開示姿勢などを評価した「透明度調査」の20年版では、日本は総合評価で16位だが、不動産テックの項目では35位となっている。
5. 需給ギャップ マイナス4.83% 4~6月推計 【日銀】
日銀は5日、日本経済全体の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」の4~6月期の推計がマイナス4.83%だったと発表した。リーマン危機後の09年4~6月期(マイナス5.53%)以来、11年ぶりのマイナス幅となった。需要不足を意味するマイナス圏に沈むのは、2016年7~9月期(マイナス0.16%)以来3年9カ月ぶり。
1日に日銀が公表した全国企業短期経済観測調査(短観)では、製造業・非製造業とも先行きの業況判断指数(DI)はマイナス圏で推移する。
6. 不動産ファンドへの投資拡大 【日経】
金融機関などが投資する不動産向け私募ファンドの国内運用資産額は6月末時点で21兆1000億円(私募REITも含む)と、前回調査(2019年12月末)に比べて5%増えた。新型コロナウイルスの流行で新規ファンドの設立は減ったが、都心部のオフィスなど利回りの高い物件への投資が拡大している。
三井住友トラスト基礎研究所がまとめた。半年ごとに不動産向け私募ファンドの運用資産額を調査しており19年6月末時点の調査結果(19兆2000億円から)3期連続で過去最高を更新した。
投資物件の内訳は、件数ベースでみると、住宅が21%、物流が19%、オフィスが17%と続いた。資産運用の残高ではオフィスと物流で計62.8%を占める。賃料収入などが安定し、利回りも高い都心のビルのほか、通信販売の伸びによる郊外の物流施設などへの投資が増えている。
私募ファンドの利回りは6月末時点で年率5.1%と半年前と比べて1.1%低くなった。
ただ、オフィスビルなどへの投資が増える一方、ホテルや商業施設への投資がしぼみつつある。
7. 不動産取引をオンライン化 【日経】
投資用不動産のシノケングループは不動産取引をオンライン化する。インターネットで本人認証できる技術を採用。2021年春からまず販売した不動産の賃貸管理契約で導入する。将来は売買や金融機関の融資審査にも広げる。
8. 福岡銀行 「民事信託」のコンサルティングサービスを開始 【福岡市】
福岡銀行は一般社団法人の財産承継ネットワーク(福岡市)、プラス事務所行政書士法人(同)と提携し、不動産や株式議決権などの管理を任せる「民事信託」のコンサルティングサービスを始めたと発表。利用者に専門家を紹介し、不動産管理や株式の議決権を信託する契約に必要な書面などを作成する。
民事信託は不動産などの所有者らが財産管理を委託する仕組み。資産管理や承継ニーズが高まっていることから、福岡銀行はサービスを拡充する。相談は無料だが、サービスの利用には、信託する財産額に応じて最低30万円かかる。民事信託に使う口座開設にも審査が必要にある。
9. 福岡市内 オフィス空室率上昇 【三鬼商事】
オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)がまとめた9月の福岡市内のオフィス空室率は3.15%となり、前月比0.24㌽上昇した。新型コロナウイルスの影響で6カ月連続で上昇し、3%を超えたのは2018年4月以降2年半ぶり。博多駅周辺や祇園、呉服町で、企業の撤退や事業縮小による解約があった。
9月だけで中小規模のオフィスビル1棟分に相当する約5600平方㍍の空室が発生した。
10. 工場立地動向調査(速報)1~6月 前年同期比47.4%減 【九州経済産業局】
九州経済産業局が発表した1~6月の工場立地動向調査(速報)によると、九州7県の立地件数は前年同期比47.4%減の20件となった。立地面積も計37㌶と、21.3%減少した。
県別の件数は福岡が10件で最も多く、鹿児島が8件で続いた。熊本と大分は各1件で、佐賀、長崎、宮崎はゼロだった。
同調査は1000平方㍍以上の用地を取得した製造業などの事業者を対象にしている。
11. 鹿児島港本港区(鹿児島市)の再開発 みずほ総合研究所との契約を解除する方向 【鹿児島県】
鹿児島港本港区(鹿児島市)の再開発で、鹿児島県は事業者公募に関わる業務支援を委託するみずほ総合研究所(東京)との契約を解除する方向で調整していることが分かった。
新型コロナウイルスの影響で公募は無期限延期され、再開が当面見込めないため。
12. ドルフィンポート跡地 運用開始 【鹿児島県】
鹿児島港本港区(鹿児島市)のドルフィンポート跡地の整備が終了し、2日からイベントスペースの暫定運用が始まる。11月には県産品支援の一環で県がドライブスルー販売会場として利用し、来年春までに計4件の予約が入っている。
1日の県議会企画建設委員会で県が報告した。県本港区まちづくり推進室によると、イベントスペースは約2万平方㍍を簡易舗装し給排水設備を整えた。
1日の利用料は1平方㍍当たり税別20円、敷地全体で40万円。部分貸しもできる。
2カ所ある駐車場(各約3千平方㍍)は1年契約で入札し、12月までに民間事業者に一括して貸し付ける。月決めとなる見込み。残る約6千平方㍍は、クルーズ船寄港時のツアーバスやシャトルバスの乗降スペースになる。
13. 「星野リゾート 界 霧島」来年1月29日に開業 【霧島市】
星野リゾート(長野県軽井沢町)は5日、霧島市霧島田口に建設中の温泉旅館「星野リゾート 界 霧島」を来年1月29日に開業すると発表した。全49室。
10万平方㍍を超える敷地に、地上5階の客室棟、フロントや食事会場が入る地上2階のパブリック棟、木造平屋の湯浴み小屋の3棟が立つ。
料金は1泊2食付き1人税別2万円(1室2人利用時)から。